株式投資においては、「グロース株投資」と「バリュー株投資」、「集中投資」と「分散投資」といったように、ある意味「攻め」の投資と「守り」の投資のカテゴリーに大別できるかと思います。
わたしが取っている方法は「守り」の投資と言えます。具体的には、ブログ名にもしていますが、配当再投資戦略です。銘柄選択はディフェンシブ銘柄中心となりますので、バリュー株投資であり、銘柄数も20銘柄近く、ややタバコ株に偏重してはいるものの、分散を心がけています。
攻めの投資におけるリスク
攻撃的なポートフォリオを組む場合、例えば、高PER銘柄や、年初来高値を連日更新しているような新興市場の小型株、レバレッジ(信用取引)については、「最高」の結果をもたらす可能性を秘めているものの、反対に「最悪」の結果をもたらす確率も高いということです。
市場環境の悪化は自身ではコントロールできませんので、攻撃的過ぎる場合は、市場から退場することになりかねません。
人間の欲望として、手っ取り早く儲けたい、という本能が超短期投資に向かわせるのかもしれません。ネット上や一部の書籍でも、何年で何億にした、とか夢のような話が転がっていますが、ごく一部の天才か、運と度胸があった方の話と捉えた方が賢明です。
色々な投資方法を試してきた私を、バリュー株投資の道へ導いてくれた本があります。その本は、「投資で一番大切な20の教え」(ハワード・マークス著 日本経済新聞出版社)です。
その帯には、「世界一の投資家バフェット推薦 本書は極めて稀に見る、実益がある本である」と、あのバフェットも絶賛し、バークシャー・ハザウェイの株主総会で本書を配布したほどです。
投資で一番大切な20の教え
本書あとがきにも書いてあるように、この本は、ざっくり読んで、テクニックを身につけるというタイプの本ではなく、じっくりと熟読して、思考方法を自分のものにするタイプの本と言えます。
確実に成功する方法も載っていませんし、投資は複雑で難しいと考えさせられますが、投資に対峙するうえでの重要で根本的なところを教えてくれる内容だと思います。
内容の一部をご紹介します。
我々が確信を持てることはごく少ないが、その一つとして挙げられるのは、行き過ぎた相場の動きは反転するということだ。振り子が永遠に一方向へ進み続ける、あるいは、一端にとどまりつづけると考える者は、いずれ大損するだろう。一方、振り子の挙動を理解している者は、大儲けする可能性があるのだ。
投資家はいま現在、サイクルや振り子のどこの位置にいるのかを見出す努力をすべきだ。そうすれば将来の動きが予測できるわけではないが、起こりそうな事態に備える手助けにはなる。
本書では、リーマンショックが起こる前の2008年1月の顧客向けレターも紹介されています。その中で、強気相場は長続きしないと警鐘を鳴らしている部分もあります。
あくまで景気予測や株価予測は不可能であるが、準備は可能であるということを説いておられます。
守りの投資における利点
集中より分散、グロース株よりバリュー株という選択は、面白みがなく、後ろ向きであるようにみえ、リターンが小さいと感じられるかもしれません。
しかし、株式投資においては10年20年単位で継続することが重要であるという認識に立てば、配当を再投資し、複利の力を利用することが、結果的には高いリターンを狙える賢明なアプローチと言えるでしょう。
最後に
投資の時間軸を考えた時に、20代であれば30年~40年、30代であれば20年~30年といった長期で考えることが可能だと思います。
攻めの投資でリスクを取る方法は否定はしませんが、10年、20年単位で投資を考えられる方にとっては、守りの投資の方が長期的には高いリターンを狙える方法だと私は考えています。